[Four-character Idiom] Ep.#7 Title: Shimen Soka【四字熟語】四面楚歌

“Shimensoka” is a four-character idiom derived from a historical event in China.

『四面楚歌しめんそか』は、中国ちゅうごくの歴史上れきしじょうの出来事できごとに由来ゆらいする四字熟語よじじゅくごです。

Chu’s song on all four-sides

四面全てに楚の歌声

The situation surrounded by enemies and isolated with no support

敵てきに囲かこまれ孤立無援こりつむえんの状態じょうたい

< Idiom derived from historical events or classical literature of China >

≪ 故事成語こじせいご ≫

An incident during the battle between the Chu army led by Xiang Yu and the Han army led by Liu Kun in 202 BC.

紀元前きげんぜん２０２年ねん、項羽こううが率ひきいる楚軍そぐんと、劉邦りゅうほうが率ひきいる漢軍かんぐんとの戦たたかいの中なかの出来事できごと。

The Battle of Gaixia

垓下がいかの戦たたかい

Hakubun(Unpunctuated Chinese texts):

白文はくぶん：

項王軍壁垓下。
兵少食尽。
漢軍及諸侯兵、囲之数重。
夜聞漢軍四面皆楚歌、項王乃大驚曰、
「漢皆已得楚乎。
是何楚人之多也。」

項王則夜起飲帳中。
有美人、名虞。
常幸従。
駿馬、名騅。
常騎之。

於是項王乃悲歌忼慨、自為詩曰、

力抜山兮気蓋世

時不利兮騅不逝

騅不逝兮可奈何

虞兮虞兮奈若何

歌数闋、美人和之。
項王泣数行下。
左右皆泣、莫能仰視。

Kakikudashi Bun(Transcription of Chinese classics into Japanese):

書かき下くだし文ぶん：

項王の軍垓下に壁す。
兵少なく食尽く。
漢軍及び諸侯の兵、之を囲むこと数重なり。
夜漢軍の四面皆楚歌するを聞き、項王乃ち大いに驚きて曰はく、

「漢皆已に楚を得たるか。
是れ何ぞ楚人の多きや」と。

項王則ち夜起ちて帳中に飲す。
美人有り、名は虞。
常に幸せられて従ふ。
駿馬あり、名は騅。
常に之に騎す。

是に於いて項王乃ち悲歌忼慨し、自ら詩を為りて曰はく、

力山を抜き気世を蓋おほふ

時利あらず騅逝かず

騅の逝かざる奈何すべき

虞や虞や若を奈何せん

と。

歌ふこと数闋すうけつ、美人之に和す。
項王泣数行下る。
左右皆泣き、能く仰ぎ視るもの莫し。

Modern Translation:

現代語げんだいご訳やく：

Chu’s King Xiang Yu’s army stood in the wall of Gaixia.

楚その項王こうおうの軍ぐんは、垓下がいかの城壁じょうへきの中なかに立たてこもった。

The number of soldiers was small and food was exhausted.

兵へいの数かずは少すくなく、食料しょくりょうも尽つきた。

The Han army and the soldiers on their side surrounded the walls in layers.

漢かんの軍勢ぐんぜいと、それに味方みかたする諸侯しょこうの兵へいは、城壁じょうへきを幾重いくえにも取とり囲かこんだ。

At night, when the Han army was all on all sides and heard the song of Chu, the hometown of Xiang Yu, he was very surprised and lamented. (shimensoka)

夜よるになり、漢かんの軍勢ぐんぜいが四方しほうで皆みな、項王こうおうの故郷こきょうである楚その歌うたを歌うたううのを聞きいて、項王こうおうは大変たいへん驚おどろいて嘆なげいた。（四面楚歌）

“Did the Han already have Chu in his hands? How many Chu people are in the Han army?”

「漢かんはすでに楚そを手中しゅちゅうにおさめてしまったのか。漢軍かんぐんの中なかになんと楚その人間にんげんが多おおいことか。」と。

Then, Xiang Yu got up at night and had a feast in the main camp.

項王こうおうはそこで、夜よるに起おき上あがって本陣ほんじんの中なかで宴うたげを開ひらいた。

There was a beautiful woman under Xiang Yu, and her name was 虞.

項王こうおうの元もとには美人びじんがいて、名前なまえを虞ぐと言いった。

She was always loved and followed.

いつも寵愛ちょうあいされて、付つき従したがっていた。

In addition, there was a suruma under Xiang Yu, and his name was 騅.

また、項王こうおうの元もとには駿馬しゅんめがいて、名前なまえを騅すいと言いった。

Xiang Yu was always on it.

項王こうおうは常つねにこれに乗のっていた。

So Xiang Yu sang sadly, raised his heart aggressively, and wrote and sang his own poem.

そこで項王こうおうは悲かなししげに歌うたい、激はげしく心こころを高たかぶらせて、自みずから詩しを作つくって歌うたった。

My power pulled out the mountain, and my energy covered the world.

私わたしの力ちからは山やまを引ひき抜ぬき、気力きりょくは天下てんかを覆おおうほどであった。

However, we no longer have the advantage of the times, and the 騅 does not move forward.

しかし、時勢じせいの利りはもう我々われわれには無なく騅すいは進すすもうとしない。

What can I do if the 騅 does not move forward? No, I can’t do anything.

騅すいが進すすもうとしないのをどうすることができようか、いやできない。

Oh 虞, What can I do for you? No, there is no way out.

虞ぐよ虞ぐよ、お前まえをどうすればよいのか、いやどうしようもない。

Singing several times, beautiful 虞 sang along with the song of King Xiang Yu.

歌うたうこと数回すうかい、虞美人ぐびじんはこれ項王こうおうの歌うたに合あわせて歌うたった。

Xiang Yu shed some tears.

項王こうおうは幾筋いくすじかの涙なみだを流ながした。

All of his aides cried, and no one was able to look straight up at Xiang Yu.

側近そっきんの者ものは皆泣みんななき、顔かおをあげて正視せいしすることができた者ものはいなかった。

“Biography of Xiang Yu(232-202 BC)” from “Records of the Grand Historian”

『史記しき』の『項羽本紀こううほんぎ』